26年度新人の深堀優と鈴木孔士。学生まで実績がなかった2選手への期待は?
2026.04.28
マラソンでサブテン選手を7人輩出してきた黒崎播磨。その全員が、入社前に注目される選手ではなかったことで“黒崎マジック”とまで言われるチームに成長した(黒崎播磨2025年度シーズンレポート③参照)。その黒崎播磨に鈴木孔士(日大卒)と深堀優(東農大卒)、2人の新人が26年4月に加わった。先輩たちと同様に、入社前は全国的には無名と言っていい存在。2人はどんな特徴や考えを持っていて、どんな黒崎播磨での成長を思い描いているのだろうか。
駅伝でチームに貢献する走りをしてきた2人
2人とも個人では全国レベルの活躍をしてきた選手ではないが、駅伝ではチームに貢献する走りをしてきた。
深堀は佐賀県の鳥栖工高3年時に、全国高校駅伝4区(8.0875km)で区間11位。11位で受けたタスキを11位で5区に渡した。チーム順位は維持しただけだが、8~10位を走るチームとの差を詰めることで、6区(5.0km)での10位浮上につなげ、チームは10位でフィニッシュした。鈴木は新潟県の中越高3年時に全国高校駅伝6区で区間15位。順位を上げることはできなかったが、25位だったチームで区間順位は一番良かった。
学生時代は深堀が2年時に、箱根駅伝復路の最長区間である9区(23.1km)で区間4位。チームは8区終了時に22位、最終的な順位も22位だったが、深堀の9区だけは18位に浮上した。鈴木は4年時に山登りの5区(20.8km)で区間9位。チームを9位に浮上させ、総合10位でシード権を獲得する流れを作った。
深堀は箱根駅伝で好走した2カ月後に、日本学生選手権ハーフマラソンで8位に入賞。個人でも力のあるところを見せ、黒崎播磨のスタッフからも注目され始めた。学生のうちに黒崎播磨の夏合宿を見学。
「チームの雰囲気を見て、このチームなら伸びると思ったので入社を決めました。特に練習は、自分で考えられる部分が多くて面白いと感じました。高校、大学は日本一を争うチームではありませんでしたが、実業団でそれができると思うとワクワクします」
大学3年以降はケガが多かったが、どうしても試合に出たい気持ちが強く、痛みが出た部位をかばってまた別の部位に痛みが出ることを繰り返した。この冬も右足首の故障があり入社後はまだレースに出ていないが、黒崎播磨では専属の古門大典トレーナーがスタッフと連携して、故障への対応やケガの予防を行っている。深堀は「悪循環を断ち切りたい」と力を込めた。
「ニューイヤー駅伝では前半区間で勝負したいですし、将来的にはマラソンで海外の選手とも勝負をしたいと思っています」
黒崎播磨の先輩たちが残してきた成長パターンを、深堀も踏襲する。深堀優選手プロフィールへ
黒崎播磨で成長するために
一方の鈴木は学生時代、「ケガをしたことがない」選手だった。4月18日に5000mに出場し、14分00秒55と実業団初戦で自己新をマークした。
学生時代は「量を走る練習」で成長できたが、黒崎播磨ではスピード練習の質が上がっている。「400mを64秒で走る練習は、大学ではなかったので新鮮です」。その一方で、朝練習やジョグのペースは、1km5分ペース」で、学生時代よりも1分遅くなった。
「ゆっくりペースでしっかりフォームを作ることが目的です。速いペースでジョグをすると、スピードを出していることで自分が納得してしまい、問題点に気づきにくい部分も出てきます。5分で走っている時は、脚のどこが張っているかなど、自分の体と対話ができます。どこをほぐしたらいいか、動きをどう変えたらいいかに気づきやすいんです」
練習以外では「ダメなところをちゃんと言ってもらえる」ことが、黒崎播磨の良さだと鈴木は感じている。「相談するタイミングが遅いことや、提出物の締め切りが守れなかったり、ルーズになっているところがあったりしました。提出物の文字が汚いことには、気持ちの余裕のなさが現れていると指摘していただきました」
日常生活がしっかりすることで、疲労の回復ができる。考え方も整理できるので、目標達成のために何をすべきかも明確になる。鈴木は「厳しいというより、適切な指導をしてもらっています。指摘される嬉しさがある」と感じている。
鈴木は園田隼(黒崎播磨初の2時間10分突破選手で、18年アジア大会代表)がマラソンで優勝争いをしているレースを、テレビで見て強烈な印象を受けた。「惹かれるものがありました。こんな選手になれたらいいな、と思いました」
小学校の卒業文集には「箱根駅伝5区の区間賞と、マラソンでオリンピックに出場する」と書いたという。
「大学の監督が自分を成長させてくれなかったら黒崎播磨にも入れませんでしたし、園田さんを見なかったらマラソンで世界と戦いたいとは思わなかったと思います。色々な方とのご縁があって、黒崎播磨で走ることができています」
周囲への感謝の気持ちも、鈴木の黒崎播磨での成長につながる。 TEXT by 寺田 辰朗

