社員インタビュー(研究開発職)「宇宙にまつわる知識経験を活かした研究開発」

RECRUIT

採用情報

河野 颯

「魅力的な耐火物を
創り出したい」
ものづくりを支える
製品開発に携われる喜び。

研究開発職

河野 颯2019年入社

学生時代は「地球惑星科学」を専攻し、
地球や惑星の素となる物質を研究。

学生時代の専攻や研究されてきたことについてお聞かせください。

学部時代では物理学専攻でしたが、大学院に移り理学部の地球惑星科学専攻に転入しました。そこで、鉱物の勉強をしながら、私たちの住む太陽系がどのようにして誕生したかを解明する研究を行っていました。
太陽系で最初にできた、地球や他の惑星を構成する素となる物質、つまり「地球の素」を実験室内で再現して、電子顕微鏡などを使って生まれたばかりの太陽系がどのような環境であったかを推察する、といった研究に携わっていました。
今の仕事でも、耐火物の組織を電子顕微鏡を使って分析するので、学生時代の経験がかなり役に立っていますね。

産業を陰で支える「縁の下の力持ち」
そんな耐火物に魅力を感じて。

黒崎播磨を就職先に選んだのはなぜですか?

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セラミックスや材料関係の研究開発に興味があったので、無機材料メーカーを中心に企業を探している中で黒崎播磨を見つけました。耐火物は当時ほとんど知らなかったのですが、1500℃以上に溶けた鉄を受け止めても溶けたり割れたりしないってよく考えたら凄いなと。それで興味を持ったのがきっかけです。産業の中でも一番過酷な条件で使われている材料で、なおかつ産業を陰で支える「縁の下の力持ち」的な存在であることも魅力でした。それに鉱物・無機化学に関する知識や電子顕微鏡での観察などの経験が生かせるかもしれないと思ってエントリーしました。
宇宙系の基礎研究は利益と直結するものではないので、他の会社ではあまり興味を持たれなかったのですが、黒崎播磨の方は研究内容を真剣に聞いて色々質問をしてくれたので、かなり嬉しかったのを覚えています。
面接の後でも、研究所の先輩社員がわざわざ出向いて親身に相談にのってもらうなど、温かいフォローも決め手でした。

高品位の鉄鋼生産に欠かせない耐火物
過酷な環境でも「溶けない」「割れない」高い品質が求められる。

製品プロセス開発センターでのお仕事を聞かせてください。

窯炉用耐火物の研究開発に携わっています。簡単に言うと1500℃以上に加熱されドロドロに溶けた鉄を受け止める炉の内張りに使うれんがの開発です。これがないと鉄を作れず、鉄製品の製造もストップしてしまいます。私は2次精錬炉に用いるれんがの開発が主なのですが、2次精錬炉は鉄鋼を作る工程の中でも最も過酷な環境になる炉で、時には1800℃に近い温度にさらされる部位もあります。質の高い鋼を製造するために、高温でも「割れない」かつ「溶けない」非常に高いスペックが求められます。使われる材質も、それぞれの製鉄所や操業条件で異なり、ほぼオーダーメイドに近い形で提供しています。また、製品のパフォーマンスを最大限に発揮するには、れんがを開発するだけでなく、提供しているれんがをどのように使用すれば最もよいパフォーマンスを得られるかどうか、調査・提案していくことも私たちの仕事です。

数値データだけでは分からないことも
自分の目で「観る」ことで見えてくる。

研究開発する上で特に重要なのは、どんなところですか?

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自分の目で「観る」ことです。開発した試作品に対しては様々な評価・測定を行い、品質を見極めます。強度や気孔率といった物性評価、顕微鏡を使った組織の観察、そして実機を模した溶損試験などを行います。
ただ、実験や測定のデータだけでは分からないことも多いです。実際にレンガを作っている工程、出来上がったれんがの組織を自分の目で「観る」ことで、なぜその物性になったか、実炉で使用しているときに何が起こっていたか、数値データを見るだけでは分からないことも見えてきます。

実は分野は違えど、地球惑星科学専攻時代の経験が耐火物の開発でも活かされていると思っています。例えば、耐火物の原料の多くが地球や他の惑星、隕石を構成している物で出来ています。鉱山から採掘した天然原料もあります。なので学生時代と扱っている物や観察している物はあまり変わっていないです。また、観察を通して、どのようにその組織ができたか、どのような環境であったのか、どのように物性値に結びついているか、という部分を考察することは、耐火物でも地球惑星の研究でも共通しています。

基礎技術の追求と収益化のバランスを考えることが重要。
開発品が実用化に至った時の喜びは大きい

やりがいを感じるのはどんな所ですか?

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開発した製品が実際にお客様の下で使用され、良い結果が得られたときは嬉しいですね。研究所の使命は「魅力的な製品を創る」ことです。そのためには基礎技術や知見を蓄えていくことが非常に重要だと思っています。基礎がしっかりしていないと、その上に何か積み上げようとしても簡単に崩れてしまいますので。ただ、そうはいっても企業では収益に結びつかなければせっかくの研究も価値が薄れてしまいます。
なので、ベースとなる基礎技術の追究・蓄積を一番に考えると同時に、いかにして実用化・収益化するかということも考えて、営業や製造部門と連携を取り合いながら開発を進めています。ですので開発していた技術が実用化されたときは大変嬉しいです。特許出願や学会発表などの実績を作った時もやりがいを感じます。
一方で耐火物の耐用に影響を与える要素は非常に多く、複雑に絡み合っているので開発は一筋縄ではいきません。無機化学、有機化学、材料力学、熱力学、統計学など様々な知識と知恵を総動員する、いわば「知識の総合格闘技」だと最近は感じています。泥臭く地道に開発を進める事も多いのですが、その中で規則や法則性を見出すことも面白さの一つです。

「技術の種をまく」
自由にチャレンジできる環境がある。

黒崎播磨は働きやすい環境ですか?

耐火物の知識は、入社後の研修や座学、工場見学などで基礎が学べますし、上司に気軽に相談したり雑談できます。「若手は技術の種をどんどん撒いてほしい」とも言われているので、担当している開発業務以外にも何か面白そうなアイデアを思い付いたらどんどんチャレンジしています。自由にチャレンジできる環境が整っていると思っています。
最近は働き方も多様化して、開発業務自体は出社しないとできないこともありますが、特許作成・学会発表・報告資料作成などはテレワークの方が効率よく進むので、フレックスタイムも利用して柔軟に仕事をさせてもらっています。以前は独身寮にいましたが、ご飯も美味しくておかわりもできるし、お金も貯まるし快適でしたね。

アンテナを広げ、様々な知識を蓄えつつスペシャリストを目指す。

今後の目標やご自身の目指す姿について聞かせてください。

耐火物市場の中で、当社は現在国内売上げ1位ですが、世界の中では3番手であり、耐火物のリーディングカンパニーにはなりきれていません。研究所としてやるべきは、業界を牽引できるような魅力的な製品を生み出すことです。一方で耐火物産業自体は歴史が長く、成熟産業でもあるので、技術のブレイクスルーが起きにくくなっているのが現状です。今後、耐火物業界を盛り上げていくには様々な分野を横断して開発を行っていく必要があると感じています。
これからは個々が幅広い知識を持つジェネラリストでありつつ、何かの分野で突出しているスペシャリストであるべきですね。研究所で活躍している人は何かしらのスペシャリストである人が多いです。その人たちを見習い、私自身は「無機材料のスペシャリスト」として研究開発・製造現場・ユーザーに関われるようにしたいです。それと同時に、アンテナを広げて周辺の様々な知識を蓄えていきたいです。

“面白そう“
それが前に進む原動力になる。

これから就職活動を行う方へのメッセージをお願いします。

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どの道を選んだらいいか、自分のやりたいことが分からないと、悩んでいる方が多いですが、実際それでもいいと思っています。やりたいことはその時その時に変わっていくものです。ただその中で、悩んだ時は「面白そうか」という価値観で決めるのが一番いいんじゃないかと思います。
活躍している人って仕事を面白がって楽しそうにやっている。「仕事をやっている」とは考えていないような人が多いんですね。そっちの方が主体的にどんどん動いていきますし、自分で仕事を進めていくことができる。最終的には良い結果や成果も出てくる気がします。学んで迷った時は自分の中で何に面白さを感じているか、何に興味があるか、そういうところを軸にすると良いのでは?自分の進んでいる道が面白いと思えれば、それが前へ進む原動力になるはずです。私自身、今はすごく楽しく研究をやらせてもらっています。
耐火物産業は、宇宙産業や半導体産業などに比べると市場規模が小さく知名度も低いですが、全ての産業を支える根幹になる“縁の下の力持ち”的な産業です。今後、耐火物業界を盛り上げていくためにも、様々な分野の人たちに参画してもらう必要があると考えています。
これから就活する皆さん、どこかでこれまでに学んできたことを生かせるところが必ずあると思うので、少しでも耐火物が面白そうだなと思った方は、ぜひエントリーしてもらったら嬉しいです。一緒に面白いこと、やっていきましょう。