コールタールフリーで高耐熱・低臭気を実現。現場の“当たり前”を覆した次世代マッド材

K-GenesisX™

チームメンバー・インタビュー

背景

AirGreen™

コールタールフリーで高耐熱・低臭気を実現。現場の“当たり前”を覆した次世代マッド材

AirGreen™

チームメンバー

  • 黒崎播磨/不定形技術部製銑不定形グループ マネージャー 平野
  • 黒崎播磨/技術研究所共通基盤研究センター マネージャー 宮島
  • 黒崎播磨/耐火物グローバル営業本部名古屋支店 アシスタントマネージャー 上野
  • 日本製鉄株式会社/名古屋製鉄所 製銑部高炉工場高炉関連整理係 係長 西尾様

高炉での作業環境改善を重視する日本製鉄株式会社名古屋製鉄所様では、2000年までレジンバインダーを用いたレジンマッドが使用されていました。

しかし、レジンマッドはコールタールをバインダーとして用いたタールマッドに比べて出銑時間が短く、孔深度が伸びないなどの課題があったため、2000年以降は黒崎播磨が開発したタールとレジンを混合したバインダーを用いたタール・レジン系マッドが使用されています。
AirGreen™はタール・レジン系マッド(以下、ハイブリッドマッド)の課題を解消するために開発された戦略商品です。

「臭気のない安全な現場」を目指して

「AirGreen™を使ってみようと思ったきっかけは何ですか?」

日本製鉄 西尾様:
私が入社した当初からハイブリッドマッド材を使用していましたが、臭いが強いことが一番の課題でした。また、タールを使っていることは人体に良くないという認識があり、時代背景的にも改善が必要だと感じていました。

臭いのないマッド材というのは、現場で働く人にとって非常に大きなメリットですので、ぜひ導入したいという思いがありました。

さらに、ハイブリッドマッドには限界を感じており、それを打破するためには新しいマッド材が必要だと考えていました。こうした思いはずっと持っていました。
実際にこういうことを考え始めたのは、もう10年以上前のことです。当時のベテランの方々も『臭いがきついのは良くない』『健康に影響があるのは避けるべきだ』とよく話していました。ですから、いつかは改善したいという気持ちをずっと抱いていました。

「AirGreen™の開発背景についてお聞かせ下さい」

平野:
AirGreen™は、発がん性物質であるコールタールをはじめ、有害な原料を極力使用しないマッド材です。有害な物質を含まない、”人と環境に優しい材料”として、お客様に安心してご使用いただくことを目指しました。

二度の失敗を乗り越えて、技術と営業が連携した開発

「AirGreen™の技術的な特徴についてお聞かせください」

宮島:
開発を始めたのは2018年後半です。最初に作った第一世代は、拡大テストを行う前に製造上の課題が見つかり、やむなく開発を断念しました。次に急いで第二世代を開発しましたが、これも失敗しました。
しかし、これらの挑戦によって原因が明確になり、その知見を第三世代に反映することで、AirGreen™を開発することができました。

AirGreen™に使用しているレジンバインダーを構成するフェノール樹脂は、分子量が小さく、遊離フェノールの少ない特殊品です。従来のフェノール樹脂よりも熱分解温度が80℃以上高く、臭気がほとんどありません。
また、溶液化のために使用した溶媒も、低有害性かつ無臭で、マッドに適したものを複数選定して採用しています。材料特性としては、低臭気・低毒性に加え、高温での安定性と可塑性の両立を目指しました。

私は環境に配慮しつつ、持続可能な開発を進めることが必要だと考えています。今後は、さらに環境に配慮したマッド材の開発を継続して進めていきたいと考えています。

ただし、単に新しい材料を導入するだけではなく、コストや設備投資のバランスを考え、現場に負担をかけない形で進めることが重要です。現場作業を容易にし、人体への影響を減らすことが、今後も大きなテーマになると考えています。

「営業はどのように携わってきましたか?」

上野:
営業活動を進めるに従って、「これは大きな価値を提供できる製品になる」と感じるようになりました。特に、夏場にマッド工場で製造工程を見学し、実際に製品に触れたことで、「これは現場の環境改善に役立つ」と確信しました。

さらに、お客様から「臭いがないですね」という声をいただいた際、AirGreen™の価値を実感し、営業としてこの製品を広めていく意義を強く感じました。

営業としては、お客様の声や使用感をしっかりとフィードバックし、開発と連携して改善を進めることが重要だと考えています。実際、お客様と二人三脚で開発に取り組むことができたと実感しています。
以前のテストでは思うような結果が出なかったこともありましたが、その後の試験では狙い通りの方向に進み、手応えを感じています。こうしてお客様と一体となって取り組めることは非常に大切だと思います。

今後も、お客様との対話を重ねながら、より使いやすく、環境負荷を低減できる製品へと進化させていきたいと考えています。営業に期待される機能は、単なる製品の販売にとどまらず、お客様の課題解決に貢献することだと考えています。

現場環境を変えたAirGreen™の実力

「AirGreen™の導入によるメリットを教えて下さい」

日本製鉄 西尾様:
一番大きなメリットは、臭いがほとんどなくなったことですね。本当に臭気を感じないレベルです。これは現場作業者にとって非常に大きなメリットです。

臭いが少ないことで、作業着に臭いが染み込むこともなくなりました。以前は、作業後に『臭いがする』と指摘されることもありましたが、そうしたことがなくなったのは本当に助かっています。自分では気づかなくても、周囲から言われるとやっぱり気になるものですからね。

それから、ようやく製品として安定して使える形になったことも大きな進歩です。今後はこの成果を安定的に維持し、さらに性能を高めていっていただきたいです。

「今後の方向性と黒崎播磨へ期待していることを教えて下さい」

日本製鉄 西尾様:
現状の生産設備を大きく変えるのは現実的ではないと思っています。したがって、既存の生産設備を前提に、より良いものを作っていくことが重要だと感じています。

新しい設備投資を行えばできるというのではなく、与えられた条件の下で『黒崎播磨さんだからできる』という付加価値を出せることが大切だと思います。そうすれば、他社ではなく黒崎播磨さんでなければならない理由が明確になりますし、私自身もそういう取り組みが好きです。

だからこそ、今回のAirGreen™の開発は、同じ方向を向いて一緒に進められる取り組みだと感じています。

品質を超えた信頼関係、本音で語り合えるパートナーとして

「長年、黒崎播磨の製品を選んでいただいている理由は何ですか?」

日本製鉄 西尾様:
黒崎播磨さんの製品を選んでいる理由は、品質の良さだけではありません。一番の魅力は、かしこまったやり取りではなく、率直に話ができる関係性です。
時には厳しいことも言いますが、それに対して真摯に対応してくれる。問題があれば仕切り直して、すぐに新しい提案をしてくれる。そのスピード感と柔軟さは本当にありがたいです。

現場に足を運び、状況を見てくれることも大きなポイントです。『こういう状況だから、こうした方がいい』と具体的な提案をしてくれるので、安心して任せられます。こうした対応力とコミュニケーションの良さが、黒崎播磨さんを選んでいる最大の理由です。

もちろん品質も良いですが、それ以上に、顧客の声を丁寧に拾い上げてくれる姿勢を高く評価しています。黒崎播磨さんでよかったと心から思っています。

「今後の抱負を教えて下さい」

平野:
日本製鉄様はマッド材について深い知識をお持ちで、その知見をもとに議論させていただけることを非常にありがたく感じています。製品を改善していくにあたり、新しい技術をどのような考えで導入するのか、その背景や目的を共有できることはとても重要です。

日本製鉄様とは、品質改善や新製品のテストを進める際に、常に同じ方向を向いて取り組めていると感じています。弊社としては、こうした協力関係を非常に心強く思っています。

今後も、日々の状況を確認しながら、マッド材の使用状況や変化に応じて、どの材料が最適か一緒に検討させていただきたいと考えています。

また、弊社の研究所で開発した新しい技術についても、お客様の使用条件に適した形で提案し、議論を重ねながら改善と開発を進めていきたいと思っています。

これからも、こうした取り組みを続けていけることを心から願っていますし、弊社の材料を選び続けていただいていることは非常に光栄です。

上野:
現場に密着し、学びながら改善を続けることが大切だと思っています。現場で得た知識を製品に反映し、より良いものを作る。
そのために、これからもお客様と一緒に取り組んでいきたいです。引き続きよろしくお願いします。