EVERCLEAN™
長年の研究を重ねた末に、鋼の品質を左右する浸漬ノズルの詰まりの画期的な低減に成功
EVERCLEAN™
チームメンバー
- 技術研究所マネージャー 佐々木
- 技術研究所マネージャー 李
- 技術サービスグループ長 香月
- 技術サービスグループマネージャー 安部
- 技術サービスグループマネージャー 星野
- 国内営業グループ長 大塚
- 海外営業部長 黒田
- 海外営業部マネージャー ナロン
- 海外営業部マネージャー 五十嵐
- Dale KUI Sales & Field Service-Central/ Sales Analytical Support
- 伊東 KUI Technical Supervisor
- Tuomo KEB Technical Service manager
- Zerei KEB Customer Service Support
ノズル詰まりは鋼の品質を左右する重要な課題
「EVERCLEAN™の開発背景についてお聞かせください」
佐々木:
技術研究所の佐々木です。EVERCLEAN™の開発の背景には、製鉄メーカーが長年抱えてきた「連続鋳造における浸漬ノズルの詰まり」という課題がありました。
汎用鋼と言われる一般的な鋼では、生産性の向上とコスト削減のために、ノズル詰まりを防ぐことが求められています。
また、自動車用のIF鋼などの高級鋼では、安全性や燃費向上のために、強度が高く軽量な鋼板の生産が不可欠です。さらに、飲料缶用鋼板では、最終的に薄く均一に引き伸ばされるため、大きな異物が混入すると表面に傷ができやすくなることから、非常に高い品質基準が求められます。
このように、鋼の種類や用途によって、ノズル詰まりの影響や対策のニーズは異なりますが、いずれの場合も鋼の品質を左右する重要な課題となっています。
長年の研究の末に、究極の難付着材質EVERCLEAN™の開発に成功

「EVERCLEAN™の技術的な特徴について教えてください」
李:
同じく技術研究所で開発を担当する李です。先ほど佐々木さんが話していた「浸漬ノズルの詰まり」という課題に対して、当社ではさまざまなアプローチで対策を行ってきました。
例えば、アルゴンガスの吹き込み方法や吐出孔の形状を工夫することで、詰まりを抑える技術を開発してきました。また、詰まりにくい材質として「SiO₂レス材質」や「Cレス材質」などの付着防止材質を採用し、さらなる改良も行っています。さらには、「ZCG」や「ドロマイト」といった物質の化学反応を利用し、詰まりを低減する技術にも取り組んできました。
こうした技術をさらに進化させ、長年の研究を重ねた結果、究極の難付着材質EVERCLEAN™の開発に成功しました。
EVERCLEAN™は、これまでの材質とは比べものにならないほどの詰まり低減効果を持ち、さらにノズル材質が溶けて摩耗しにくいという特徴も備えています。
一般的に、詰まりを防ぐ材質は耐久性に課題がありました。しかし、EVERCLEAN™では、「詰まりにくさ」と「耐久性」という相反する課題を両立させることに成功しました。
さらに、適用部位に応じて最適な材質を選べるバリエーションも用意しており、幅広いニーズに対応できる製品となっています。
新しいものを商品化することの難しさを、改めて実感した
「開発にあたって大変だった点や苦労した点をお聞かせください」
佐々木:
開発が始まったのは1995年にまでさかのぼります。商品化に至るまで、私たちは非常に長い年月を費やしました。
当初の材料設計では、社内の製造過程で歩留まりの問題が発生し、さらに製鉄メーカーでの使用時にもさまざまな不具合が生じるなど、大きな課題が山積みでした。
これらの課題を一つひとつ解決するには、相当な努力と忍耐が必要でした。これが最も苦労した点です。研究開発の道のりの中で、新しいものを商品化することの難しさを改めて実感しました。
李:
研究開発された新しい材料は、その後、製造工場でノズルに組み込まれ、製品化に向けた製造工程へと進みます。しかし、年間を通じて安定した生産を行い、高い品質を維持するためには、最適な製造条件や材料の調整が必要です。その見極めは非常に難しく、大変苦労しました。
過去には、他の材料の製品化において、製造上の問題や品質のばらつきに悩まされた経験がありました。そのため、EVERCLEAN™の開発では、「より作りやすく、より使いやすく、高機能な製品を」というモットーを掲げ、研究を進めてきました。
最適な条件を見つけ出すために、非常に多くの試作と評価を繰り返したことは、私にとって貴重な経験となりました。そして、開発・製造・営業チーム全員の努力と協力の結果、最終的に製品化を実現することができました。
鋼の品質向上、生産性向上のニーズにお応えする製品
「どのようなニーズを持つお客様に最適な商品でしょうか?」
香月:
技術サービスを担当している香月です。EVERCLEAN™は、ノズルの詰まりを低減することで、鋼の品質向上、生産性向上、操業中の安全性確保に貢献する製品であり、多くの現場で役立ちます。
ノズルの詰まりを防ぐことで、鋳型内の溶鋼の流れが安定し、鉄鋼製品の歩留まりが向上するため、効率的な製造を目指すお客様のニーズに応えることができます。また、溶鋼の流れが悪くなることで発生するブレークアウトのリスクを低減する効果もあります。
さらに、鋳造の途中で酸素ガスを使ってノズルの詰まりを取り除く作業が不要になるため、作業負担を軽減し、工程の効率化にも貢献します。
コスト削減や、操業中の安全性向上といったメリットにもつながる

「EVERCLEAN™導入でお客様が得られる具体的なメリットを教えてください」
安部:
技術サービスを担当する安部です。EVERCLEAN™は、ノズル内の付着や閉塞を抑え、鋳型内の溶鋼の流れを安定させることで、半製品の品質向上が期待できます。
ノズル内孔に付着や閉塞が発生すると、溶鋼の流れが不安定になり、製造管理基準を満たさない半製品が生じます。
これらは廃棄されたり、溶削や手直しが必要なダウングレード処理が必要になったりするため、不要な工程が増え、エネルギーやコストがかかる要因となります。EVERCLEAN™を使用することで、こうした問題を防止できます。
また、鋳型内の溶鋼の流れが乱れると、ブレークアウトが発生するリスクが高まります。ブレークアウトとは、鋳型内で固まった鋼の膜が破れ、溶鋼が流れ出してしまう現象です。この際、鋳片の溶断や取り出し、設備損傷による部品交換などの作業が必要になり、大きな負担がかかります。
特に夏場にブレークアウトが発生すると、作業者の負担が増し、熱中症のリスクや非定常作業による事故の危険性が高まるため、安全管理の面でも大きな課題となります。EVERCLEAN™は、こうした作業負担の軽減や災害リスクの低減にも貢献できる製品です。
星野:
技術サービスを担当している星野です。EVERCLEAN™のメリットの一つにコスト削減があります。具体的には、ノズルの詰まりが解消されることで溶鋼の流れが安定し、製鋼工程だけでなく、お客様の下工程における鋳片の手直し作業が減るため、大きなコストメリットが期待できます。
また、作業環境の改善という面でも大きなメリットをもたらします。通常、ノズルの詰まりを取り除く作業は高温環境下で行われ、特に夏場は作業者の負担が大きく、熱中症や事故のリスクが高まることが課題となっています。
EVERCLEAN™を導入することで、ノズルの詰まりがなくなり、詰まり解消作業が不要になるため、作業負荷が大幅に軽減され、安全性の向上にもつながります。
圧倒的な詰まり低減を実感いただき、環境負荷の低減にも貢献
「汎用製品と比較して、どのような違いがありますか?」
星野:
EVERCLEAN™を導入されたお客様からは、汎用製品と比べても圧倒的な詰まり低減効果があるとの評価をいただいています。さらに、材質の溶損が少ないため、長時間の使用が可能になっています。
また、鋳型内の溶鋼の流れが改善されることで、製品品質の向上や生産性の向上にもつながっているとの声も多く寄せられています。加えて、環境負荷の低減にも配慮した製品設計がされており、その点でも高い評価をいただいています。
「EVERCLEAN™の環境への配慮について教えてください」
安部:
EVERCLEAN™を使用することで、浸漬ノズルの詰まりが解消され、歩留まり良く安定した品質での生産が可能になります。これにより、安全面の課題を解決し、効率的な鋼の製造とエネルギー削減を実現できます。
さらに、耐火物の使用量を削減できるため、製造時のエネルギー消費の抑制や輸送頻度の低減、廃棄量の削減にもつながります。こうした点からも、EVERCLEAN™は環境負荷の低減に貢献する製品と言えます。
導入・サポート体制を含めて、国内外から高い評価

「EVERCLEAN™の導入プロセスについて教えてください」
大塚:
国内営業を担当している大塚です。EVERCLEAN™の導入は、お客様のニーズに合わせてカスタマイズしたプロセスをご提供しています。
まず、使用環境の調査と診断を行い、最適な製品仕様をご提案します。具体的には、設置場所や位置などの最適な仕様を図面に落とし込みます。その後、少量の試験導入を実施してから、本格導入へと進めていきます。導入後も、お客様から共有いただいたデータをもとに、定期的な診断や技術的なアドバイスを行い、継続的なサポートを提供しています。
「お客様からはどのようなフィードバックが寄せられていますか?」
五十嵐:
海外営業を担当している五十嵐です。EVERCLEAN™の導入により、ノズル詰まりの問題が大幅に改善され、「品質や生産効率が向上した」「コスト削減につながった」といった、非常に高い評価をいただいています。
また、サポート体制についても、迅速かつ丁寧な対応が評価され、多くのお客様から好評をいただいています。
ナロン:
同じく海外営業を担当しているナロンです。多くのお客様から高い評価をいただいており、それが新たなお客様からの引き合いにつながっています。
現在、国内外を問わず、多くのお客様に試験導入を実施しています。今後も、各地域の営業所、販売会社、現地パートナーとの連携を強化しながら、お客様の課題解決をサポートしていきたいと考えています。
日本から世界へ、さらなる顧客価値を実現
「今後の市場展開をどのようにお考えですか?」
黒田:
日本国内ではすでに複数のお客様に導入いただいていますが、海外の主要な製鉄所でも高いニーズがあると考えています。特に、自動車用の高級鋼では、世界的な環境意識の高まりとともに、軽量かつ高強度な鋼板の需要が増加しています。そのため、EVERCLEAN™のノズル詰まり抑制技術は、今後ますます重要になると見込んでいます。
また、汎用鋼においても、生産性向上やコスト削減、エネルギー効率の向上が求められており、ノズル詰まり対策のニーズは今後さらに高まるでしょう。
お客様のさまざまなニーズに対応し、最適な製品仕様をカスタマイズして提供することで、より高い顧客価値を実現していきたいと考えています。
「今後、どのような技術開発を目指していきますか?」
佐々木:
すでに導入いただいているお客様はもちろん、これから導入を検討されるお客様にも、それぞれの操業条件に合わせてマイナーチェンジが可能な体制を整えていきたいと考えています。
また、継続的に新しい材質の研究開発を進めており、あらゆる使用環境においてノズルの詰まり低減が可能となるよう取り組んでいます。
「今後の取り組みに関して教えてください」
香月:
今後も技術開発を継続するとともに、新たな市場への積極的な展開を進めていきたいと考えています。また、さらなる顧客価値の向上を目指し、製品開発に注力するとともに、お客様のニーズに応じたカスタマイズ対応やサポート体制の強化にも取り組んでいきます。
海外販売会社メンバーのインタビュー記事
北米販売会社KUI

「お客様はEVERCLEAN™にどのような期待を抱いていますか?」
お客様Cは「モノブロック型SEN」のため、詰まりが発生した浸漬ノズルを交換することができないため、タンディッシュの耐用は浸漬ノズルの耐用によって制限され、ノズル詰まりが主な要因となっています。
お客様Cは安全性と浸漬ノズルの耐用時間の延長の観点から、ノズル詰まり防止に優れたEVERCLEAN™に大きな期待を寄せています。
「品質、鋼の歩留まり、安全性以外に、EVERCLEAN™ に期待されることは何ですか?」
COおよびCO2 排出量を含む環境への世界的な注目が高まっています。新しい技術であるEVERCLEAN™により、鉄鋼生産の改善とエネルギー消費の削減に貢献できると期待しています。
さらに、耐火物の使用量が削減できるため、耐火物製造時のエネルギー節約、輸送コストの削減、廃棄物の削減により、環境保護に貢献できると考えています。
欧州販売会社KEB

「お客様はEVERCLEAN™にどのような期待を抱いていますか?」
お客様Aでは鋳造中に浸漬ノズルの詰まりが発生し、浸漬ノズルを頻繁に交換する必要があります。
ノズル詰まりにより浸漬ノズルの消費量の増加や鋳造停止の課題があります。
浸漬ノズルの詰まりを効果的に防止する EVERCLEAN™を適用することで、浸漬ノズルの交換頻度を大幅に削減でき、鋳造効率が向上し鋼の生産性改善に期待をしています。
お客様Bではモノブロック型浸漬ノズルを使用しておりますが、ノズルが詰まった場合、浸漬ノズルの交換が不可能であり、鋳造を継続するには詰まりを除去するため危険を伴う酸素洗浄の作業が必要です。
危険な作業が不要になることで安全性を大幅に向上できる、優れた詰まり防止特性を持つEVERCLEAN™ に高い期待を寄せています。この技術は、より安全で効率的なソリューションを提供し、作業リスクを軽減し、操業現場全体の安全性向上に期待をしています。
「お客様AでEVERCLEAN™ 浸漬ノズルの試験が行われましたが、どのような結果でしたか?」
IF鋼鋳造時に浸漬ノズルの詰まりが大幅に減少し、より安定した操業が可能となりました。
また、鋼の歩留まりが改善する可能性があり、拡大試験で検証する予定です。