軽く、強く、長く使える。焼成の現場を変えるセッターPLATECT®

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チームメンバー・インタビュー

背景

PLATECT®

軽く、強く、長く使える。焼成の現場を変えるセッターPLATECT®

PLATECT®

チームメンバー

  • セラミックス事業部電材部品質技術グループ長 中村
  • セラミックス事業部電材部品質技術グループアシスタントマネージャー 末安
  • セラミックス事業部電材部生産技術グループ工長 岡本
  • セラミックス事業部セラミックス営業部マネージャー 道坂

ジルコニア質セッターの短所を克服すべく、1980年代から開発スタート

「PLATECT®の開発背景についてお聞かせください」

中村:
PLATECT®の開発責任者を務めております電材部品質技術グループの中村です。電子機器に不可欠なセラミックコンデンサ。その焼成時に使用されるセッター、いわゆる電子部品を載せるお皿には、長らくジルコニアが用いられてきました。
ジルコニアはセラミックコンデンサとの反応が起こりにくく、安定した焼成が可能という利点がある一方で、「重い」「割れやすい」「変形しやすい」といった欠点も抱えていました。
そうしたジルコニア質セッターの短所を克服すべく、当社では1980年代からPLATECT®の開発に取り組んできました。

基材と溶射皮膜の組み合わせで、熱を被焼成物に効率よく伝えることができる

「PLATECT®の特徴を教えてください」

末安:
技術サービスを担当している電材部品質技術グループの末安です。
PLATECT®は、基本構造の大部分をアルミナ–シリカ質で構成し、被焼成物が実際に接触する表面部分のみを、プラズマ溶射によってジルコニア皮膜で覆ったセッターです。従来のジルコニア質セッターが抱えていた課題を解決するために開発された製品です。
アルミナ–シリカ系の材料は、ジルコニアに比べて熱伝導性が高く、炉床からの熱を被焼成物に効率よく伝えることができます。

中村:
また、プラズマ溶射によるコーティングも、PLATECT®の大きな特長のひとつです。一般的なスプレー法は、セラミック粉末を水などに分散させて塗布する方式ですが、プラズマ溶射はより緻密で、基材にしっかりと食い込む丈夫な皮膜を形成できます。これにより、耐久性が向上し、焼成中の被焼成物との反応も抑制されます。

道坂:
営業を担当しているセラミックス営業部の道坂です。PLATECT®の構成材料であるアルミナ–シリカは軽量であるため、セッターそのものの重量が軽くなります。これにより炉床への負荷が軽減され、より多くのセッターを積載できるようになります。つまり、焼成炉の有効容積をより効率的に活用できる点も、お客様にとって大きなメリットです。

稼働率&生産性向上、エネルギー効率の改善など、様々なメリットをもたらし、世界シェアは約40%

「PLATECT®の導入によるメリットを教えてください」

中村:
PLATECT®はセッターの寿命を延ばすことで、交換頻度を低減させ、焼成炉の稼働効率を向上させます。さらに、軽量化によりセッターの積載数が増えることで、生産性の向上にもつながります。
また、熱伝導性に優れた素材を採用しているため、焼成工程全体のエネルギー効率が改善され、コスト削減はもちろん、CO₂排出量の削減といった環境面でのメリットも期待できます。
加えて、セッターの廃棄量が減ることで、処分コストの削減にも貢献します。

「PLATECT®は主にどのような用途で使用されているのでしょうか」

道坂:
最も多く使用されている用途は、積層セラミックコンデンサ、いわゆるMLCCの焼成工程です。国内外の多くのMLCCメーカー様にご採用いただいており、当社ではこの分野におけるPLATECT®の世界シェアは約40%と推定しています。

末安:
また、MLCC分野以外にも、バリスタやサーミスタなど、さまざまな電子部品の焼成用途に関して、多くのお問い合わせをいただいています。導入事例も着実に増えており、対応分野は今後さらに広がっていくと考えています。

お客様とともに試行錯誤を重ねながら、最適なセッターを見つけ出していく

「PLATECT®採用までの流れを教えてください」

中村:
新規のお客様と既存のお客様とで、多少進め方に違いはありますが、いずれの場合もまずは現在の焼成条件や、現在ご使用中のセッターに関する情報をご提供いただくところから始まります。

加えて、「セッターを軽くしたい」「積載数を増やしたい」など、現在お困りの点やご希望の仕様についても丁寧にヒアリングいたします。その内容をもとに、ご要望に沿った仕様で試作品を作製し、ご評価いただくのが基本的な流れです。

その後、試作品の評価結果にご満足いただければ、量産体制へと移行します。もし評価結果がご期待にそぐわない場合には、継続的に協議を重ねながら仕様の見直しを行い、再度の試作と評価を繰り返してまいります。

「具体的にはどんな開発依頼があるのか教えてください」

末安:
お客様からのご依頼内容は多岐にわたりますが、例えば「現在使用しているセッターの焼成効率をさらに高めたい」といったご要望や、「新製品に対応するため、新たな焼成条件に合ったセッターが必要」といったご相談が多く寄せられています。

まずは、お客様がどのような仕様を求めておられるのか、丁寧にヒアリングを行います。対応例としては、溶射皮膜の厚みを調整するケースや、基材の支柱の高さ・形状を変更するご提案などがあります。

また、お客様自身が最適な仕様を決めかねている場合には、複数の仕様で試作品を作製し、それぞれご評価いただくこともあります。開発期間は内容によって異なりますが、早い場合で半年、長いケースでは数年にわたり共同開発を続けることもあります。

中村:
当社では、お客様とともに試行錯誤を重ねながら、最適なセッターを見つけ出していくスタンスで開発を進めています。PLATECT®は基本的にカスタムメイドでご提案しております。お客様一社一社のご要望にしっかりと向き合い、最適な仕様や形状をご提案している点こそが、PLATECT®をご支持いただいている最大の理由だと考えています。

これまで蓄積してきた豊富な製造ノウハウを活かして、試作から高品質な量産へ

「試作を依頼するにあたっては、どのような選択肢があるのでしょうか」

岡本:
製造を担当している電材部生産技術グループの岡本です。PLATECT®では、お客様のご要望にできる限り柔軟にお応えできるよう、基材および皮膜の材質について、それぞれラインアップの中からお選びいただける仕組みをご用意しています。
さらに、基材の形状に関するご相談や、皮膜の厚み、あるいは皮膜の有無についてもご指定いただけます。そのため、焼成条件や目的に応じて、最適な仕様をご提案することが可能です。
さまざまな条件を組み合わせることで、お客様の焼成環境に最適化されたセッターをご提供できる体制を整えています。

「量産化するにあたって、試作品と品質が変わってしまうことはありませんか?」

岡本:
基本的に、当社では試作品の段階から量産用の設備を用いて製作を行っております。そのため、試作品と量産品の間で品質に差が生じることはありません。
お客様にご評価いただいた試作品と同じ材料・同じ工程で、確実に量産品をお届けいたしますので、安心してご採用いただけます。

「量産化にあたって苦労したところを教えてください」

岡本:
例えば、複雑な形状のセッターを開発する場合など、設計段階から高い製造難易度が想定されるケースでは、試作や量産の過程で課題が発生することもあります。しかし当社には、これまでに蓄積してきた豊富な製造ノウハウがあります。また、そうした難しいご要望をお任せいただけることは、セッターメーカーとしての責任であり、誇りでもあると考えています。

実際に、難易度が高い製品でも、製造技術の改善を重ねることで生産性が大きく向上し、その後はお客様から継続的に多くのご注文をいただけるようになった事例も多数あります。
もちろん、試作段階で実現が難しいと判断される場合もありますが、そうしたケースでもお客様と丁寧にコミュニケーションを取りながら、一つひとつ課題を解決していくことを大切にしています。

「何かを焼く」という工程で、PLATECT®が貢献できる業界は無数に存在する

「PLATECT®をご使用になったお客様からの声をお聞かせください」

道坂:
ある電子部品メーカーのお客様からは、従来のジルコニア質セッターをPLATECT®に切り替えたことで、「セッターの寿命が大幅に延びた」とのご報告をいただいています。

末安:
また別のお客様からは、「従来の皮膜では焼成がうまくいかなかった製品でも、試作で別の皮膜を試した結果、設計値どおりの特性が得られた」とのお声をいただきました。こうした柔軟な対応力も、PLATECT®に対する高い評価の理由のひとつです。

「今後のPLATECT®の市場展開についてお聞かせください」

道坂:
おかげさまで、MLCC業界ではPLATECT®の認知度が徐々に広がり、ブランドとしての信頼も確立されつつあります。
一方で、MLCC以外の電子部品業界ではまだ十分に知られているとは言えません。今後は、MLCC以外の分野にも積極的にPLATECT®をご提案し、導入の裾野を広げていきたいと考えています。また、「何かを焼く」という工程が存在する限り、PLATECT®が貢献できる業界は無数に存在します。電子部品分野にとどまらず、他分野への展開にも視野を広げていきたいと考えています。

「お客様へのメッセージをお願いします」

中村:
当社は、もともと耐火煉瓦の製造を手がけていた工場をルーツに持ち、長年にわたり成形技術を中心に多くのノウハウを蓄積してまいりました。そこにプラズマ溶射技術を加えたことで、基材設計から製造、そして表面処理までを一貫して対応できる体制を確立しております。

こうした一貫生産体制と、長年にわたって培ってきた技術力・品質、そしてお客様に寄り添う提案力こそが、当社をお選びいただいている大きな理由であると自負しています。
今後も、「まずは黒崎播磨に相談してみよう」とお声がけいただけるような、信頼される企業であり続けたいと考えております。