REX-ROBO™
人とロボットの協働で、より働きやすい環境へ。効率と安定稼働を実現し、人材確保の選択肢を広げるロボット技術。
REX-ROBO™
チームメンバー
- 開発責任者 吉村
- 部長 大塚
- マネジャー 山口
- エンジニア 尾上
- サービスエンジニア 弓畑
- エンジニア 二村
- エンジニア 牟田
安全性の向上と作業負担の軽減は喫緊の課題だった

「REX-ROBO™を開発するに至った背景について教えて下さい」
吉村:
自動化開発グループのグループ長を務めている吉村です。私は2015年の開発開始当初からメンバーとして携わっています。
そもそもREX-ROBO™は、鉄の製造工程における作業負担の軽減と安全性の向上を目的として開発されたロボットです。本プロジェクトは、当社の社是である「より良く、より安く、より早く」に「より新しく」を加えた開発を目指したものでもありました。
具体的には、鉄を製造する過程で、溶鋼鍋から鋳造設備へ溶けた鉄(溶鋼)を流し込む工程があります。この際、溶鋼の流量を調整するために使用されるのが、当社の「SN装置」です。本装置には、SNプレートと呼ばれる穴の開いた2枚のプレート耐火物が搭載されており、これらをスライドさせることで溶鋼の流入量を調整・制御しています。
しかし、このプレートは高温環境下で使用されるため、鋳造を重ねるごとに劣化し、定期的な交換が必要となります。現在、このプレートの交換作業は人力で行われており、高温環境下での作業には危険が伴ううえ、重労働を伴う作業が多く含まれています。
そのため、安全性の向上と作業負担の軽減は喫緊の課題となっていました。
過去にも自動化の試みはありましたが、十分な成果を得るには至りませんでした。しかし、近年のロボット制御技術の進歩によって、より高度な自動化が実現可能となったことで、新たな開発への期待が高まり、私たちのチームが編成されました。
「ロボットとは何か?」から始まった試行錯誤

「開発にあたって苦労された点はどのようなところですか?」
山口:
現在はSN装置グループに所属し、販売を担当していますが、私も開発当初からREX-ROBO™開発に携わっています。開発は、当初吉村グループ長を含む4名のメンバーでスタートしました。まず、「ロボットとは何か?」を学ぶために専門の研修施設へ泊まり込み、ロボット操作の資格を取得することから始めました。
特に苦労したのは、ロボット実機での検証に先立ち、動作確認用の3Dシミュレーションを習得することでした。現在では、この検証が開発に不可欠なプロセスとなり、フル活用しています。
初回の検証では、ロボットアームのカメラセンサーの位置調整がうまくいかず、試行錯誤を重ねました。しかし、改善と検証を繰り返した結果、スムーズな動作を実現することができました。
より働きやすい環境を整えるニーズにお応えする商品

「REX-ROBO™は、お客様のどのようなニーズに応える商品ですか?」
牟田:
自動化開発グループで開発を担当している牟田です。プレートの交換や整備作業は、40度以上の高温環境で行われます。また、「重筋作業」といわれるように、重量のある耐火物をハンドリングするには大きな力が必要です。そのため、このような厳しい環境下での作業は、若い作業者から敬遠されがちでした。
そこで、本製品は、高温環境での重筋作業から作業者を守り、負担を軽減することで、より働きやすい環境を整えることを目的に開発されました。さらに、作業のばらつきを解消することで、女性をはじめとする多様な人材の活躍を促進し、経験の少ない若い作業者でも敬遠せず安定して作業ができる職場の実現を目指します。
若い作業者や女性でも操作可能、人材確保の選択肢が広がる

「導入いただくお客様には、どのようなメリットがありますか?」
弓畑:
SN装置グループで技術サービスを担当している弓畑です。私は、具体的な装置導入に関する技術サービスを担当しています。まず、REX-ROBO™を導入するには、前提としてSN装置の設置が必要です。SN装置を活用した溶鋼プロセスにより、作業のシンプル化と工程の迅速化を可能にします。
さらに、REX-ROBO™を組み合わせることで、作業者の作業負担が軽減され、安全で働きやすい環境を実現できる点をお伝えしています。
また、人や環境による作業のばらつきを抑え、安定した操業を継続できることも、多くのお客様から高い関心を寄せられています。
主なメリット
- 作業者の負担を軽減し、危険を減らすことで安全性が向上する
- 若い作業者や女性でも操作可能であり、人材確保の選択肢が広がる
「作業」から「操作」へ、人とロボットの協働で効率化と安定化を

「REX-ROBO™開発のコンセプトを教えてください」
二村:
自動化開発グループで開発を担当している二村です。REX-ROBO™は、「Refractory Exchange Robot」の略で、Refractory(耐火物)の”R”とExchangeの”EX”を組み合わせた名称です。その名の通り、「耐火物交換ロボット」という意味を持っています。
開発のコンセプトとして掲げたのは、「作業から操作への転換」です。完全自動化にこだわるのではなく、人とロボットの協働を重視した自動化を目指しました。
もちろん、ロボットがすべての作業を担うことが理想ではありますが、ロボットには得意・不得意な作業があることも分かっています。そのため、人の感覚が求められる部分には適切に頼りながら、効率化と安定化を図りました。
「環境配慮への配慮について教えてください」
弓畑:
私は実際にお客様のもとへ伺い、技術サービスを提供しています。まず、SN装置の導入により、作業の迅速化・簡素化に加え、作業者の作業負担を軽減することが可能になっています。これは、「働きやすい環境づくり」を実現するためのサービスです。
さらに、安全性の向上・作業の安定化・負荷軽減・作業改革の4つの要素を組み合わせた自動化を実現し、環境への配慮を進めています。
「お客様の反応はいかがですか?」
牟田:
お客様にご見学いただけるよう、八幡本社工場内にデモ機を設置したデモンストレーション展示室を用意しています。これまで自動化が難しいと考えられていたSN装置の交換を、REX-ROBO™がスムーズに行う様子をご覧いただき、多くのお客様から驚きの声をいただいています。
また、安全性の向上や作業の安定化が実現できる点についても、特に高い評価をいただいています。
「製品の導入プロセスを教えてください」
尾上:
SN装置グループで販売を担当している尾上です。私はもともと開発部門に所属していましたが、その知識を生かし、現在はお客様のもとへ伺い販売を担当しています。おかげさまで、国内第一号機の契約もいただきました。
導入プロセスとしては、まず前提としてSN装置の導入が必要となります。すでにSN装置を導入済みの場合は、それに合わせたリプレイス導入となります。新規導入の場合は、SN装置の稼働が安定した段階から順次導入を進めます。
いずれの場合も、導入にあたっては現地調査を綿密に行い、配置や仕様を検討した上で進めます。また、納入前の試験運転や現地での試運転を経て、本格稼働となります。もちろん、稼働後も定期点検を実施し、使用状況のチェックや現地でのアドバイスにも対応いたします。
AI搭載により自律化を促進し、より高度なロボット開発をチーム一丸で目指す

「今後、どのような市場での展開を計画されていますか?」
尾上・山口:
2023年にドイツの展示会で発表したことで、海外市場でも高い注目を集めました。国内第一号機の本格稼働に続き、北米での導入も決定しています。今後は、稼働実績をもとに、国内外を問わずさらなる市場展開を進めていく計画です。
「これから、どのような製品開発を目指していきたいかお聞かせください」
二村:
現在、自動化が進んでいる領域に加え、さらなるニーズを掘り起こしながら、製品開発を推進していく予定です。また、既存の機能を他の用途へ展開できる可能性についても、引き続き検証を進めていきます。
さらに、最先端のAI機能を搭載することで自律化を促進し、より高度なロボット開発をチーム一丸となって目指していきます。
「最後に、今後の展望について一言お願いします」
大塚:
REX-ROBO™の販売・開発を統括する装置エンジニアリング部の部長を務めている大塚です。すでに国内外2社のお客様にご採用いただいており、まずはその対応に誠心誠意取り組んでいきます。製鉄所における課題やニーズは、日本国内にとどまらず、世界各地において共通しています。そうしたご要望を的確に捉え、課題解決につなげる製品開発を、今後も継続していきます。
REX-ROBO™は、これからの時代を担うベンチマークとなる存在であると確信しています。その実現を支えるべく、体制強化に取り組んでいきます。
