2026/09/01
熱を逃がさない技術が、脱炭素社会を支える(KROTECT®第一話)
ナノ多孔質断熱材 KROTECT® とは
みなさんは「断熱材」と聞くと、家の壁や天井に使われる建材を思い浮かべるかもしれません。
実は、断熱材は、私たちの暮らしに欠かせない製品を生み出す工場や、エネルギー設備でも、重要な役割を担っています。
高温で稼働する設備では、熱が外へ逃げるほど、エネルギーのロスが発生します。そのため「いかに熱を逃がさないか」が、省エネルギーやCO₂削減の大きなポイントになります。
黒崎播磨が開発した「KROTECT®(クロテクト)」は、そうした課題を解決するために生まれたナノ多孔質断熱材です。

そもそも”断熱材”とは?
断熱材とは、その名の通り「熱を伝えにくくする材料」のことです。
例えば、熱いお茶を魔法瓶に入れると長時間温かいまま保つことができます。これは外部へ熱が逃げないように断熱されているからです。
工場や産業設備でも同じで、高温で運転する設備から熱が逃げてしまうと、
- エネルギーの無駄が発生する
- 燃料消費量が増える
- CO₂排出量が増加する
といった課題が生じます。
そのため、高温設備では断熱材によって熱損失を抑え、エネルギー効率を高めることが重要になります。
KROTECT®とは?
KROTECT®は、熱の伝わりにくさを示す「熱伝導率」が静止空気よりもさらに下回る性能を持ち、優れた断熱性能を発揮する断熱材です。熱処理設備や工業炉のほか、家庭用燃料電池(エネファーム)などで使用されています。
優れた断熱性能を持つという事は、従来よりも少ない厚みで高い断熱性能を発揮できるということ。これがKROTECT®の最大の特徴です。
『低熱伝導率』がもたらすメリット
① 省エネルギー化
KROTECT®を使用すると、設備から逃げる熱を抑えることができます。
つまり、同じ温度を維持するために必要なエネルギーを減らせるため、熱ロスの低減によるエネルギー使用量の削減が期待されています。

② 設備の小型化
一般的には断熱性能を高めるために断熱材を厚くする必要があります。
しかしKROTECT®は優れた断熱性能を持つため、従来の断熱材よりも薄い厚さで同等以上の断熱性能を実現することができます。
これにより、
- 設備・装置の小型化
- 軽量化
- 設置スペースの自由度向上
- コスト削減
といったメリットが生まれます。
特に燃料電池分野では、限られたスペースでも高い断熱性能を確保できるため、装置全体のコンパクト化に貢献しています。

実は、KROTECT®の価値は、「性能の高い断熱材」で終わりではありません。
工業炉では、超高温から設備を守る「耐火物」と、熱を逃がさない「断熱材」が組み合わさることで、高い省エネ性能が実現されています。KROTECT®はその中で重要な役割を担っています。
次回のKROTECT®紹介記事は、耐火物メーカーである黒崎播磨だからこそ開発できたKROTECT®の技術と、脱炭素社会への貢献についてご紹介します。